肩に花びらが落ちてきました。どんな大画面テレビでもできないお花見でした。 (2008年春)
あの、ひょっとしてハイビジョンの大型画面で桜を眺めて、もうそれで春を満喫した気になっていませんか。ところで風で手前に落ちた桜の花びらがさっきから私の肩に乗っかっているんです。こういうことが本当はとっても春なんです、よね。(2008年春TVCM)
南禅寺に向かう途中インクラインに出るために、古いレンガ造りのトンネル「ねじりまんぼ」を通る。”まんぼ”とは江戸時代に呼ばれたトンネルのことで、力学状の理由から、螺旋状にレンガを積み上げたことからこの名前になったとのこと。
高低差のある琵琶湖疏水で船を運行するために敷設された傾斜鉄道の跡地で、春の蹴上インクラインの桜風景は格別で、600Mの傾斜軌道の両側から線路を覆いかぶさんばかりに咲き誇り、桜のトンネルは青い空に向って京都市内まで伸びていくような風景である。
琵琶湖疏水の流れる山道の手前に蹴上発電所という明治24年(1891)6月に操業を開始したレンガ造りの情緒ある水力発電所があり、こちらの発電所の敷地も桜であふれている。
このまま琵琶湖疏水を歩き、東山の桜散策の中心地「南禅寺」に到着です。西は岡崎の疏水べりに約800本の桜、南は今通ってきたインクラインの軌道上の600Mの桜のトンネル、北に向えば哲学の道の桜並木である。
そんな南禅寺の三門から見る桜は、歌舞伎「楼門五三桐」の場面で、三門に登った五右衛門が「絶景かな、絶景かな。春の眺めを値千金とは小さいたとえ、この五右衛門が目からは値万両、万々両。日もはや西に傾きて、誠に春の夕暮れの、桜の色もひとしお、ひとしお。ハテ、うららかな眺めじゃなあ」と名科白を廻しているのである。